入札制度第一号選手

現在、日本のプロ野球選手が大リーグに移籍するには、次のような方法が考えられる。

1つは、FA宣言してメジャーリーグの球団と交渉する。

次に、所属球団を自由契約になり、メジャーの入団テストの合格する事

そして、ポスティングシステム(入札制度)での移籍である。


一体、ポステイングシステムとはどういう制度なのか。

毎日新聞の用語解説はこのように解説している。

米大リーグ球団が、獲得を希望する日本選手の所属球団への移籍金を入札し、
最高金額を提示した球団が独占交渉権を得る制度。
他球団へ権利を譲渡出来ず、契約が成立しない場合、その選手は翌年まで所属球団に留まる。



さて、この制度で移籍した選手と言えば、シアトル・マリナーズのイチロー外野手と
ロサンゼルス・ドジャースの石井一久投手である。

特にイチローは日本人初の入札選手としても話題になった。


では、真のポスティングシステム一号選手は一体誰なのか?

それが今回の主人公、アレファンドロ・ケサダ外野手である。

ケサダは98年のオフに入札制度を利用して、シンシナティ・レッズへの移籍を果たした。

落札価格は約4500万円。球団にとっては予想外の収入だっただろう。


さて、このケサダとはどんな選手だったのか?

スポーツニッポン選手名鑑(98年開幕号)にはこう書かれている。

ドミニカの選手としては、珍しく上半身ががっちりした体型。パワーあふれる打撃が魅力で、注目されるのは肩の強さ。
カープアカデミー出身者初の大砲として期待は大きい。将来性はペレス以上との声もある。


どうやら、素質は充分にあったようだ。


しかし、カープの1軍の外野手は層が厚く競争が激しい。ケサダはウエスタンリーグで日々を過ごした。

フレッシュオールスターゲーム(富山アルペン:7月21日)では本塁打を放ち、MVPを受賞した。

本領を発揮したのはシーズン終盤の9月。

9月1日にプロ初本塁打を代打で放つと、15日の阪神戦でも代打本塁打。

翌16日には故障の前田に代わり、3番ライトで先発出場。

この日は打撃こそ結果が出なかったが、もう1つのセールスポイント強肩を
ホームの2m手前でランナーをアウトにするバックホームで披露した。

ファンは新しい戦力が出てきた事で、来季への期待を膨らませていた。

「こいつは凄いヤツだ。」と。


しかし、その一方でケサダはある決意をしていた。

ポスティングシステムでの大リーグ移籍である。

「なぁ、ペレス。今年から出来るポスティングシステムっていうの知ってるか?」

「ポスティング・・・、何だよそれ?」

「うん、オレも難しい事は分からないんだけど、オレ達メジャーリーグに行けるようになるかもしれないんだ。」

「へぇ、メジャーリーグかぁ・・・。」

「凄いと思わないか? 憧れのメジャーリーグだぜ。」
 
「でも、カープには野村さんや町田さんみたいに良い人がたくさんいるし。」

「まぁ、聞けって。このままオレ達が日本で野球を続けても緒方さんや前田さんの控えだ。」

「うーん、そうかもしれないね。ボクも試合に出る為にファーストを守っているけど、本当は外野手で試合に出たいんだ。」

「だろ? それにメジャーリーガーになれたら今よりたくさんお金をもらえる。」


(参考:ケサダ年俸400万円 ペレス同1900万円)

「それもそうだなぁ・・・。」

「だからさ、代理人さんに『ボク達をメジャーリーグに行かせてください。』って球団の人に言ってもらおうよ。」

「よし! 頼んでみるか!」

「絶対メジャーリーガーになろうぜ!」


こうしてケサダはペレスと共に、メジャーリーグへの移籍を決意した。


シーズン終盤になり、代理人と球団関係者が交渉をする季節になった。

(契約か・・・。本当に契約する気があるのかね・・・。)

「どうもこんにちは。」

「あぁ。君だったね。ケサダ君の代理人は。」

「はい。早速ですが本題に入りましょう。」

「ああ、そうだな。来季の年俸は球団としては××万円を予定しているのだがどうだろう?」

「悪くは無いですね。しかし今日はもっと大事な話があるのです。」

(なに? まさかパスポートの話とか、留守家族手当をよこせとか・・・。)

「彼をポスティングシステムでメジャーリーグに行かせてやって下さい。」

「な、メジャーリーグ挑戦・・・」

「はい。もし落札球団が無ければ、先ほどの金額××万円で再契約しましょう。」

「まぁ、そういう事なら認めよう。但し、シーズンが終わってから正式に発表する。」

「話はまとまりましたね。では、私はこれで。」

(やれやれ、結局メジャーリーグへ行ってしまうのか。)



そうしている間に、98年のシーズンが閉幕した。

ペレス・ケサダ両選手の帰国と同時に、球団は2人のポスティングシステムでのメジャー挑戦を発表した。


しかし、落札が決まったのはケサダ1人だった。

一方、残されたペレスはカープと年俸3150万円で再契約。

翌年オフに自由契約になり、ニューヨーク・メッツへの移籍を果たす。


ペレスは、01年にメジャー昇格を果たし、阪神タイガースからFA移籍した
新庄剛志外野手(現:サンフランシスコ・ジャイアンツ)とポジションを争うまでになった。

しかし、ケサダは02年現在まで一度もメジャーに昇格したという情報が無い。

ポスティングシステムでの初のメジャーリーグ移籍選手となった男も、
カープアカデミー出身の野手として初のメジャーリーガーにはなれなかった。

その一方で、ポスティングシステムで移籍出来なかった男が先にメジャーリーグへ昇格することになった。

更に言えばルールを無視して、メジャーへ移籍したソリアーノがヒーローになり、
ルールに則って移籍したケサダは今もマイナーリーグで汗を流している。

メジャーリーグとは一体何なのであろうか。



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このテキストは事実に基づいて構成されていますが、会話部分は全てフィクションです。
また文中における年俸などの金額は、全て推定です。
ケサダ選手がメジャー入りしたなどの情報がありましたら御一報下さい。



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