アルフォンソ・ソリアーノ

年俸調停制度というのを御存知だろうか。

これは、「選手と球団の契約更改が行き詰まった時に

第三者である調停委員会が最終的な判断を下す」というものだ。

調停委員会が決めた金額は最終結論なので、両者ともその金額に応じなければならない。

もし選手側がこれを拒否した場合、任意引退選手扱いになる。


長いプロ野球の歴史の中で、この調停結果を拒否した選手が2人いる。

1人は73年に阪神に在籍していたマックファーデン。

そしてもう1人が今回の主役である、アルフォンソ・ソリアーノである。



ソリアーノは96年に来日し、年俸400万円でカープと契約した。

前年ドミニカで.366の高打率を残していたが、日本の野球に適応し切れなかったのだろう。

1年目は一軍昇格することすらなく、1年間通してファームで試合に出場し続けた。

57試合 .214 0本 14打点

これが1年目の成績だった。


ソリアーノは契約を代理人に任せて帰国した。

一軍の試合に一度も出場しておらず、二軍での成績も平凡な物だったので、昇給を要求できるような要素は何もなかった。

代理人もその点を理解していたのだろう。

現状維持の400万円で話はまとまった。


ところで、大多数のファンは重要な事を知らずにいた。

代理人があのダン野村であるという事を。


理由は簡単だ。当たり前と言えば当たり前なのだが、二軍選手の契約更改を大きく報じるマスコミなどいないからである。

この為、ファンは翌年起こる事件を全く予測出来なかった。

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